はじめに

天気の話はしたくない[psychophysics]』 では、僕が読んだ作品を紹介します
詳しくは、このblogについてをご覧ください
佐倉悠介については、プロフィールをご覧ください


このblogを立ち上げるにあたり、可能な限り多くのジャンルの作品に触れたいと考えています

そこで、みなさんに「オススメ作品」を紹介して戴きたいと思います
何かありましたらコメントに作品名を書いてもらえれば読むつもりです(コメントは、その作品を紹介次第消去いたします)

よろしくお願いします

平成マシンガンズ

平成マシンガンズ

平成マシンガンズ

 ■作品評価
  92点(名作)
 ■コメント
取り巻く2つの環境(家庭・学校)に反発しつつも、対応し立ち直っていく三並夏のデビュー作
扱うテーマとは裏腹に軽いタッチですが、内容はしっかりしています。ラストは身体が震えました。間違いなく「名作」です
始めは少し冗長に思えた文章も、いつの間にかリズムを取っていました。作者独特の呼吸が感じられ読み心地が良いです
現在の作者はというと、学業専念のためか活動停止中。また作品を発表してもらえることを楽しみに待ちたいと思います
第42回文藝賞を受賞

蹴りたい背中

 ■作品評価
  92点(名作)
 ■コメント
主人公が微妙な感情を抱くようになる過程を描いた、綿矢りさの代表作
作者が若いとはいえ、ここまで高校生を鮮やかに描写できる文章力に感服しました。文章の軽さ・薄さも申し分ありません。高校生の感情を描くという観点から考えると、“読み疲れる”ほどの分量を読者の投げかけるべきではありませんので
「最年少で芥川賞を受賞したから」という理由で多数に読まれた作品ですが、そういった切欠がなくとも読んで欲しい作品。僕の好みにマッチしたので、珍しく『名作』の評価を提示しました
第130回芥川龍之介賞を受賞

わくらば日記

わくらば日記

わくらば日記

 ■作品評価
  31点(凡作)
 ■コメント
主人公と過去を見る事が出来る「姉様」の活躍を描いた、朱川湊人の小説
「ノスタルジックホラー」を得意とする作者が、敢えてノスタルジックだけで挑んだ短編集。禁じ手とも言える過去視を通して犯行心理を鮮明に描こうという意思は伝わりましたが、その分動機がむちゃくちゃ
文章の流れそのものの統一感が欠けていた気がします。ぬるま湯に浸るタイプの小説が好きな人には向いてるかも

さらば国分寺書店のオババ

さらば国分寺書店のオババ (新潮文庫)

さらば国分寺書店のオババ (新潮文庫)

 ■作品評価
  24点(駄作)
 ■コメント
椎名誠のデビュー作にしてベストセラーとなった作品
著者自ら『昭和軽薄体』と名づけたほどの軽い文体で書かれています。統一されていない語尾で一貫した作品で、ついでに内容もとても薄い
筆者の観察眼の鋭さが特徴的ですが、なんだか作者の「取材メモ」を読んでいるような感じでした。「取材メモ」から小説に書き起こした椎名作品を読んだ事があるので、どうもメモだけでは残念ですがつまらない

犯人に告ぐ

犯人に告ぐ

犯人に告ぐ

 ■作品評価
  84点(優秀作)
 ■コメント
豊川悦司主演により映画化もされた、雫井脩介の長編サスペンス小説
いわゆる「警察小説」というジャンル。ある事情で左遷された巻島史彦を中心に、メディアを通じて犯人と接触を図ろうとする、史上例を見ない「劇場型犯罪」を描いた作品
すごく面白かった。男児連続殺害事件と6年前の男児誘拐殺害事件を交差させつつも煩瑣にならない表現力に驚く。伏線が読み手に与える威力の大きさを久しぶりに感じました
第7回大藪春彦賞受賞。第2回本屋大賞7位

少年名探偵虹北恭助の新冒険

少年名探偵 虹北恭助の新冒険 (講談社ノベルス)

少年名探偵 虹北恭助の新冒険 (講談社ノベルス)

 ■作品評価
  37点(凡作)
 ■コメント
帰ってきた少年名探偵・虹北恭助の推理を描いた、シリーズ第2作目
夢水清志郎シリーズ」で知られるはやみねかおるが、映画人として書き上げたジュブナイル推理小説。ちなみに幻の映画「妖」の謎を解いたカメラ屋の若旦那は、作者が自分自身をを投影した登場人物です。言わずもがなですが
でもねぇ、どうも趣味(映画撮影)の描写に走り過ぎている気がします。はやみねファンなら何とか楽しめるかも知れません


続編(下記参照)と合わせて読みました。上記の方が“まだ”面白かったので、そちらを評価対象としました
残念ですが、続編はより一層映画とレトリックに終始した印象。このシリーズの中では、第1作目が最も「推理」が中心に置かれていた気がします

少年名探偵 虹北恭助の新・新冒険 (講談社ノベルス)

少年名探偵 虹北恭助の新・新冒険 (講談社ノベルス)

少年名探偵 虹北恭助の冒険 (講談社ノベルス)

少年名探偵 虹北恭助の冒険 (講談社ノベルス)